第13章
トータルヘルスケアサポート③

身体と心の健康を守ることは非常に重要です。
栄養・食事、避難環境、脱水、衛生、そしてペットや生活環境も含めた「からだとこころのケア」、「災害時のトータルヘルスケアサポート」について紹介します。

アース・ペット株式会社

ペットと災害

災害時は人命を最優先しなければなりません。ですが、飼い主様にとっては、ペットも家族同然です。自宅での生活が困難になった際、ペットのいるご家庭には「同行避難」が推奨されています。お住いの地域の防災計画などで、事前にペットと一緒に避難できる施設を把握しておきましょう。同行避難のための備えには、「ペットを守るための備え」と「避難所での共生のための備え」があります。

「ペットを守るための備え」には、最低5日分のフード、水、薬や衛生用品が必要です。これは、ペットのための物資は人より遅れて届くことが想定されるため、長めの備えが必要となるからです。また、逸走に備えたマイクロチップ・犬鑑札・迷子札や、狂犬病予防接種済票の装着、キャリーケースやリード等への日頃からの慣れなども大切です。

「避難所での共生のための備え」も忘れてはいけません。避難所でのペットの飼育は、動物アレルギーや、鳴き声や臭い、ノミ・マダニ・感染症など、公衆衛生上の問題や避難者間のトラブルに発展する可能性を含んでいます。避難所では、人もペットもみな、災害の不安からストレスを抱えています。避難所にいる全員が共生してゆけるよう、日頃からのトレーニングや、ワクチン、寄生虫駆除などの健康管理、清潔を保つための物品も大事な準備となります。

大塚ウエルネスベンディング株式会社

停電でも商品を取り出せる自動販売機

自動販売機は電気を使って飲み物を夏は冷やして、冬は温めてお客様に美味しくお飲みいただける便利な機械です。ただし、ここ最近あちらこちらで発生する線状降水帯による街中の洪水、突風や竜巻による電線の切断、さらには大規模な地震によって起こる“停電”は人々の生活を一瞬で不便な生活に変えてしまいます。電気で動く自動販売機は“停電”が起きると「ただの箱」になってしまいます。

私ども大塚ウエルネスベンディング株式会社は1999年より「ライフラインベンダー」という災害対応型自動販売機を展開しております。この自動販売機は“停電”により電気が切れた場合には設置場所の管理者に事前にお渡ししている“合鍵”で扉を開けていただき、庫内の製品を“無償”で開放するという契約を結んでいます。電気が通じていなくとも、取り出し口に“ワイヤー”を付けており、それを引っ張ると中の商品が出てくるというシンプルな構造になって、“停電”でも取り出すことが可能な仕組みです。飲料だけではなく“栄養調整食品”も販売できる自動販売機のために、緊急時の水分と栄養補給ができる機械です。

また、最近は自動販売機の隣に備蓄庫も併設し、簡易トイレ、マスク、洗口液、手指洗浄液も備蓄されて、同様に非常時にはお使いいただけます。

大塚製薬株式会社
医薬営業本部地域包括推進部

からだとこころのケア

身体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態――。世界保健機関(WHO)憲章は、「健康」をこのように定義し、ウェルビーイングという言葉で表しています。災害時においては急激な環境の変化を経験し、恐怖や不安、また多くの困りごとを抱える事も考えられます。基礎疾患をお持ちの方は被災による治療中断にならぬよう日頃から医療関係者が地域で連携していく事が求められますし、特にお子さんや高齢者を始めとする要配慮者に対しては周囲の方が出来るだけサポートできる環境づくりを日ごろから地域で育てていく事も必要でしょう。

その中でも『こころ』に関するものは簡単には見えないものなので、いつもと様子が違う等感じられた時は、第7章で取り上げられているサイコロジカル・ファーストエイド(PFA)を活用して寄り添う事が重要です。精神科などに通院されていた方や認知症の方等においても環境変化や服薬コンプライアンスの低下等で患者さんやご家族もご負担が予想されます。自治体が公開している情報やかかりつけの医師や薬剤師の方、福祉の方と連携して治療やケアの中断にならないように、また支援者や介助者の負担を軽減させる為にも平時から地域で多くの職種の方の連携体制を構築されていかれると良いと思います。 大塚製薬では地方自治体と健康づくりに関する包括連携協定を締結し、医療‐保健‐福祉‐教育など各分野を繋ぎ、官民連携を通じて災害医療・福祉体制構築支援を行っています。