第13章
トータルヘルスケアサポート②

身体と心の健康を守ることは非常に重要です。
栄養・食事、避難環境、脱水、衛生、そしてペットや生活環境も含めた「からだとこころのケア」、「災害時のトータルヘルスケアサポート」について紹介します。
アース製薬株式会社
避難所での口腔衛生管理
避難所における口腔衛生管理は、特に誤嚥性肺炎をはじめとする感染症予防に大きく貢献します。災害発生時の特殊な環境下で口腔ケアを実施することの貢献は多岐にわたります。
1.誤嚥性肺炎の予防と災害関連死の軽減
口腔ケアの実施は、被災者が発症する肺炎(誤嚥性肺炎)を予防する上で確立された方法です。
- 誤嚥性肺炎の多発リスク: 災害時には、高齢者の体力が低下し誤嚥を誘発しやすくなります。また、精神的ストレスなどによる免疫力の低下も高齢者の抵抗力を弱め、肺炎を発症しやすくします。特に、肺炎になるリスクの高い高齢者や要介護高齢者において、誤嚥性肺炎が多発すると考えられています。
- 災害関連死への影響: 災害関連死における死因の約4分の1は「肺炎」であり、そのほとんどが「誤嚥性肺炎」の可能性が高いとされています。
- 実績: 阪神・淡路大震災を機に誤嚥性肺炎対策が実施された結果、災害関連死における肺炎は減少しています。災害時口腔ケアを実施することで、被災者の肺炎(誤嚥性肺炎)を予防することが可能です。
2.呼吸器感染症やウイルス感染対策
避難所生活では、睡眠不足、栄養状態の悪化、そして口腔衛生状態の低下が重なり、呼吸器感染症を起こしやすくなります。
3.水不足下での口腔ケアの実現
災害時には、飲料水の確保が最優先されるため、歯磨きやうがい用の水が不足しがちになります。洗口液(マウスウォッシュ)は、この水不足という課題を解決します。
- 水を必要としないオーラルケア: 洗口液は「そのまま使える」ため、水を必要とせず、水がない状態でも手軽にオーラルケアが可能です。
- 衛生管理の簡略化: 水が不足した状態で歯ブラシを使用した場合、通常はティッシュペーパーやウェットティッシュなどで歯ブラシの汚れを拭き取る必要がありますが、洗口液を使用すれば、この歯ブラシのお手入れや管理が不要になります。
4.感染症リスクの軽減と健康維持への貢献
避難所生活では、睡眠不足や栄養状態の悪化、そして口腔衛生状態の低下が重なり、被災者は呼吸器感染症を起こしやすくなることが指摘されています。口腔ケアの実施は、これらの感染症、特に高齢者に多発する誤嚥性肺炎の予防に直結します。
効果的かつ現実的な手段となります。
避難所でのゴミ起因による虫の発生と感染症
1. 災害時における害虫発生の背景とリスク
大規模災害が発生すると、平時とは異なりゴミ収集が困難になります。このため、ゴミや水たまりから虫の発生が予測されます。また、仮設トイレや不適切な処理が行われた排泄物なども、害虫の発生源となるリスクがあります。
害虫発生源
- ゴミからの発生リスク
- トイレからの発生リスク
- 水たまりからの発生
具体的な害虫による被害
災害時に拡大が予測される具体的な害虫によるリスクは以下の通りです。
- ハエ・蚊による被害拡大
- ゴキブリによる被害
- 不快害虫による刺咬被害
これらのハエやゴキブリが媒介する被害は、被災者に体調不良や健康リスクをもたらす可能性があります。
2. 害虫リスクへの対策
災害時における虫対策は、火災対策と同様に初期対応が大切であるとされています。
具体的な初期対応
-
薬剤の噴霧の推奨:
ゴミの収集が困難な状況下では、ゴミを出す前に薬剤を噴霧することが効果的な対策として挙げられています。 -
ワンプッシュの活用:
例えば、「ワンプッシュ」といった手法で、ゴミを出す前に手軽に薬剤を使用することが推奨されています。
水たまりやトイレ周辺についても、発生した虫を媒介とした感染症や健康被害を防ぐために、適切な衛生管理と初期段階での薬剤使用が重要となります。
イーエヌ大塚製薬株式会社
災害時における口腔ケアの重要性 特に高齢者への対策
災害時は水不足になることが多く、歯磨きが十分に行えない場合が多くあります。また、飲み水が制限されていたり、トイレが利用できない場合は水分摂取を控えることもあります。このような環境下では口腔衛生状態が悪化しやすくなり、さらに口腔乾燥状態と相まって益々口腔環境が劣悪になります。特に高齢者は免疫力が低下しているため、口腔衛生状態が悪化すると誤嚥性肺炎や感染症のリスクが高まり、命に関わる場合もあります。また、避難生活のストレスや口腔環境の悪化により食べる力や食欲が減退し、オーラルフレイルや低栄養等の悪循環に陥りやすくなります。
このような事態にならないように水を使わない口腔ケア用品が必要となりますが、支援物資は偏りがある場合もあるため、口腔全体をケアできるよう、ブラシ類、口腔清拭シート、洗口液、口腔ケア用ジェル等、様々な種類の口腔ケア用品を準備しておくと良いでしょう。口腔ケア用品はローリングストックによって普段から使い慣れておくことで有事の際も安心して使用できます。
高齢者の命を守るためにも、口腔ケアの備えは欠かせない対策のひとつです。
大塚包装工業株式会社
災害時のトイレ対策
ひとたび大災害が起こると水洗トイレの機能が停止する事をご存じでしょうか。阪神淡路大震災、東日本大震災などこれまでに起きた数々の震災では、ライフラインが停止し、一番最初に直面する問題が「トイレ」でした。特に近年では地震以外にも大雨による洪水など自然災害が増加する中、トイレ対策は不可欠なものになっています。
トイレ問題は災害後、段階的に進行します。まず、水が流れなくなったトイレに人が殺到し、モラルが守られずに汚物がたまって不衛生になり、感染症の恐れが出てきます。次に不衛生なトイレに行きたくない為に水分を控えて脱水症になったり健康状態が悪化します。最後にはこれらの負担がストレスになり、避難所での生活が困難になります。これが災害時におけるトイレ問題です。
トイレ問題は災害後、段階的に進行します。まず、水が流れなくなったトイレに人が殺到し、モラルが守られずに汚物がたまって不衛生になり、感染症の恐れが出てきます。次に不衛生なトイレに行きたくない為に水分を控えて脱水症になったり健康状態が悪化します。最後にはこれらの負担がストレスになり、避難所での生活が困難になります。これが災害時におけるトイレ問題です。
避難所には備蓄用トイレがありますが、まだまだ数は足りず、仮設トイレを行き渡らせるにも災害後では道路が寸断される状況下では、1週間後でも全避難所の50%に届かないと言われています。ですから公助共助も必要ですが、まずは自助努力によって水や食料と同じように、簡易トイレや携帯トイレを平時から備えられる事をお勧めします。
大塚包装工業では、これまで培ってきた包装技術を活用し、環境に優しい紙素材を使った災害時用備蓄品(簡易トイレや段ボールベッド等)の開発を通じて、人々の健康に貢献してまいります。
ニチバン株式会社
救急絆創膏の重要な役割/
褥瘡ケアの重要性
救急絆創膏の重要な役割
災害時は、ガラスの破片やがれきなどで切り傷や擦り傷を負うリスクが高まります。
救急絆創膏は、傷口を外部の土やほこり、細菌などから物理的に保護し、感染を予防します。
特に湿潤療法(モイストヒーリング)タイプの絆創膏は、傷から出る体液(浸出液)を適度に保ち、傷の治りを早め、痛みを軽減する効果があります。避難生活で医療機関へのアクセスが困難な状況下では、小さな傷からの感染を防ぎ、自己治癒力を最大限に引き出すために、これらの絆創膏が極めて重要な役割を果たします。また、防水機能を持つものは、衛生環境が悪い状況下での水仕事や入浴時の二次感染防止にも役立ちます。
褥瘡ケアの重要性
災害時の避難生活では、活動が制限され、硬い床や不適切な寝具(例えば、薄い毛布や段ボール)での長期臥床・座位を強いられることが多く、褥瘡(床ずれ)の発生リスクが急増します。
さらに、栄養状態の悪化や十分な清潔保持の困難さも、このリスクを一層高めます。
褥瘡は、単なる皮膚の傷ではなく、放置すると深部の組織まで壊死し、重篤な感染症(敗血症など)や全身状態の悪化に直結し、生命を脅かす事態になりかねません。特に高齢者や基礎疾患を持つ方にとっては、命取りになる可能性があります。
そのため、災害時における褥瘡ケアは、二次被害を防ぐための最優先事項の一つです。具体的には、体位変換やポジショニングによる体圧の分散、皮膚の観察と清潔保持、早期の予防的スキンケア(保湿、摩擦の軽減)、そして初期の褥瘡に対する適切な創傷被覆材(ドレッシング材)を用いたケアが不可欠となります。これにより、避難者の生活の質(QOL)と安全を確保します。
ニチバンでは、長年にわたって医療補助用テープ材などをお届けしてまいりました。これからも低刺激、感染対策などをキーワードに、人々の健康で快適な暮らしに貢献してまいります。
