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第3章：避難について
避難行動の重要性

災害時における「避難行動」は、自らの命を守るための最も重要な行動です。大雨や洪水では、自治体からの避難情報（高齢者等避難、避難指示など）を待つだけでなく、ハザードマップで自宅周辺のリスクを事前に確認し、危険を感じたら自主的に行動を開始する「空振り」を恐れない姿勢が求められます。地震の場合は、まず身の安全を確保し、揺れが収まったら、津波や火災のリスクに応じて速やかに高台や広い場所へ移動します。避難の判断を遅らせることは、命取りになりかねません。「まさか」が起こるのが災害です。「いつ、どこへ、どう逃げるか」を家族や地域で事前に話し合い、マイタイムラインなどを作成し、迅速かつ安全に移動できる準備と心構えを持つことが、生存率を大きく左右します。特に、夜間や悪天候時の避難経路の確認は必須です。

タイムライン

災害種別 いつ（判断のタイミング） どこへ（避難先） どうやって（具体的な行動）
風水害（台風・豪雨） 警戒レベル3（高齢者等避難）発令時、または夜間になる前、雨が強まる前。 ハザードマップ外の親戚・知人宅、指定緊急避難場所（浸水しない高所）。 危険を感じたら、「空振り上等」で早めに避難開始。車での避難は原則禁止。徒歩で、水深が膝を超えないうちに移動。地下には絶対に入らない。
地震（揺れ直後） 強い揺れを感じたら即座。 落下物、倒壊の危険がない安全な場所（机の下、丈夫な柱のそば）。 まず身を低くし、頭を守る（シェイクアウト訓練）。揺れが収まるまで動かない。ドアを開け、避難経路を確保する。
地震（揺れ後・津波） 大津波警報・津波警報発令時、または強い揺れや長い揺れを感じた場合。 一刻も早く高台や津波避難ビル（標高の高い場所）へ。 警報を見聞きしたらすぐに避難。「津波てんでんこ」（みんなはちゃんと避難しているとお互いに信じて）の精神で、各自が最善を尽くして高所へ。荷物は最小限にし、走って逃げる。

経過レベルと避難行動

警戒レベル 名称（情報発表主体） 住民が取るべき行動 具体的行動の解説
レベル 5 緊急安全確保（市町村）。 命を守る最善の行動！ すでに災害が発生、または切迫している状況。この段階での避難所への移動は極めて危険です。自宅の2階以上への「垂直避難」や、近隣の頑丈な建物の緊急避難スペースなど、少しでも安全な場所で命を守る行動を直ちに取ってください。
レベル 4 避難指示（市町村）。 危険な場所から全員避難！ 最も重要な避難のタイミングです。対象地域の住民は、速やかに指定緊急避難場所や、安全な親戚・知人宅などへ避難してください。避難指示の解除まで自宅には戻れません。この指示が出たら、一刻も早く行動を開始することが、命を守る分水嶺です。
レベル 3 高齢者等避難（市町村）。 高齢者、要配慮者は避難！ 避難に時間のかかる高齢者、障がいのある方、乳幼児がいる家庭などは、この段階で避難を開始してください。その他の人も、いつでも避難できるよう、持ち出し品の確認や避難準備を整えます。夜間に向かう場合は、このレベルのうちに移動を完了するのが理想です。
レベル 2 大雨注意報、洪水注意報など（気象庁）。 避難行動の確認！ 災害リスクが高まってきています。ハザードマップで自宅周辺の危険性や避難経路を再確認します。テレビやラジオなどで最新の気象情報を収集し、避難の準備を始めます。
レベル 1 早期注意情報（気象庁）。 災害への心構え！ 数日先の気象情報に注意し、防災意識を高めます。非常持ち出し袋の点検、備蓄品の補充など、余裕をもって防災対策を見直す機会とします。

避難行動の多様性

避難方法 対象とするリスク 具体的な場所 留意点
立ち退き避難（水平避難） 火災、津波、土砂災害、全壊の危険。 指定緊急避難場所、親戚・知人宅（ハザードマップ外）。 事前に家族で場所・経路を確認。感染症対策（マスク、消毒液）も考慮する。
垂直避難 洪水、内水氾濫（浸水リスク）。 マンションやビルの3階以上の安全な場所（上層階）。 自宅の上階や近隣の頑丈な建物の高所。水・食料を上階に持ち上げる必要あり。
在宅避難 家屋の被害が軽微、ライフラインの一部停止。 自宅（安全が確保された居室）。 最低7日分の備蓄（食料、水、生活用品）が必須。二次被害（火災、盗難）に注意。
縁故避難・広域避難 自宅地域が広範囲にわたり危険、避難所の混雑回避。 安全な遠方の親戚・知人宅、宿泊施設。 移動手段、ルート、長期的な物資・医療の確保を検討する。
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