第2章:身を守る行動
身を守る行動

1. 自然災害時における要配慮者の安全確保と避難支援

自然災害では、「逃げ遅れ」が最大の危険であり、要配慮者は特にリスクが高まります。

安全確保と避難行動

要配慮者は、地域が作成する「避難行動要支援者名簿」に登録し、個別避難計画を日頃から策定することが大切です。避難開始の判断は、健常者より一歩早く(高齢者等避難指示があったら)行うよう心がけ、避難場所は避難所だけでなく、親戚宅など安全が確保できる縁故避難も検討します。避難時には、常備薬や福祉用具、連絡先や体調に関する情報を記した記録をすぐに持ち出せるように準備しておきましょう。また、避難行動中は、無理せず要配慮者のペースを守り、焦らないことが大切です。

支援の具体策

近隣住民による「共助」が命綱です。地域の自主防災組織や隣近所が、名簿に基づき日頃から声かけや安否確認の訓練を行います。災害発生時は、迅速に要配慮者の安否を確認し、避難の要否を伝え、複数人で介助して避難場所まで付き添います。車いすの持ち運びや階段の昇降、盲導犬の誘導など、要配慮者一人ひとりの特性に合わせた具体的な手助けが必要です。移動中は、要配慮者のペースに合わせることが最優先であり、急かさず、不安を取り除くよう努めましょう。

2. CBRNEなど特殊災害時における要配慮者の安全確保と避難支援

安全確保と避難行動

CBRNE災害発生時は、まず行政の指示に従い「屋内退避」することが最優先です。要配慮者が自力で密閉できない場合は、支援者が窓やドアの隙間をガムテープやビニールシートで塞ぎ(シェルターインプレイス)、汚染物質の侵入を徹底的に防ぎます。避難指示が出た場合、汚染物質を広げないよう、汚染された衣服の脱衣やシャワーによる洗浄(除染)を迅速に行わなければなりません。特に高齢者や乳幼児は体温低下を防ぐため、除染後の保温が重要です。生物剤の場合は、徹底した手洗いやマスク着用による衛生管理を続けます。

支援の具体策

支援者は、まず自身の呼吸器を保護(濡れタオルなどで口鼻を覆う)してから、要配慮者の支援に入ります。屋内退避の密閉作業を迅速に代行し、避難時の除染(衣服の脱衣、身体の洗浄)を介助します。この際、プライバシーに最大限配慮した上での介助が求められます。情報が専門的で複雑なため、支援者は行政や専門家からの指示を正確に理解し、要配慮者に合わせた平易な言葉や手段(筆談、ジェスチャー)で不安なく伝える役割を担います。避難所では、衛生管理を徹底するため、要配慮者向けに隔離できるスペースや専用の消毒液などを優先して確保しましょう。