第1章:身の回りの危険を知る
人為的災害

多数の負傷者が出るような大きな事故。バスの横転事故、自動車の多重衝突事故、航空機事故、水難事故、火災、爆発事故、紛争などがあります。
人為的災害は、人間の行為や過失が原因で発生する災害です。
自然災害と異なり、予防や安全管理の徹底で被害を軽減できるのが特徴です。
1. 交通事故・鉄道事故
交通事故や鉄道事故は、予期せぬ衝突や脱線によって、短時間に多数の死傷者を出す可能性があります。
災害の特徴
突発性: 発生を予測することが困難です。
複合的な被害: 事故そのものによる外傷に加え、車両からの燃料漏れによる火災、高圧電流による感電など、二次的な危険を伴うことがあります。
危険と危険な場所
交通網の麻痺: 事故現場周辺の道路や線路が閉鎖されることで、救助活動や緊急車両の通行が妨げられ、広範囲で交通渋滞が発生します。
高圧電流: 鉄道事故の場合、架線からの高圧電流に感電する危険があるため、むやみに線路に近づくことは非常に危険です。
二次的な火災・爆発: 燃料タンクの損傷などにより、事故現場で火災や爆発が発生するリスクがあります。特に、トンネル内や橋の上など、閉鎖された空間での事故は、逃げ場がなく、被害が拡大しやすいです。
2. 火災・爆発事故
火災や爆発は、熱や爆風によって、人命と財産に深刻な被害をもたらします。
災害の特徴
急速な拡大: 一度火が燃え広がると、周囲の可燃物や風の影響を受けて、短時間で大規模な火災に発展する可能性があります。
見えない危険: 燃焼によって一酸化炭素などの有毒ガスが発生し、煙を吸い込むことによる窒息も大きな危険です。
危険と危険な場所
住宅密集地: 建物が密集している地域では、火災が次々と隣接する建物に延焼し、広範囲を焼き尽くすリスクがあります。
化学工場・ガソリンスタンド: 可燃性や爆発性の高い物質を扱う場所では、ひとたび火災が発生すると、大規模な爆発や化学物質の漏洩を伴う危険性があります。
地下空間: 地下街や地下鉄などは、煙や熱が充満しやすく、避難経路の確保が困難になるため、非常に危険です。
3. 化学物質・放射性物質漏洩事故
これらの事故は、目に見えない脅威であり、人体に深刻な健康被害を長期的に引き起こします。
災害の特徴
見えない脅威: 化学物質や放射性物質は、色や臭いがなく、気づかずに暴露してしまう危険性があります。
長期的な影響: 暴露した物質の種類によっては、数年後にがんや慢性疾患を発症するなど、長期的な健康被害をもたらす可能性があります。
危険と危険な場所
工場・化学プラント: 有毒な化学物質を大量に製造・保管しているため、事故が発生すれば、周辺地域全体が汚染される可能性があります。
原子力関連施設: 放射性物質を扱う施設で事故が起こると、広範囲にわたる放射能汚染を引き起こし、住民の避難や生活に甚大な影響を与えます。
風下: 化学物質や放射性物質は、風に乗って広がるため、事故発生現場から離れていても、風下に位置する地域は危険です。
4. ライフライン・情報インフラの停止
ライフラインや情報インフラの停止は、直接的な被害をもたらさない一方で、社会全体の機能を麻痺させ、間接的に人命に関わる事態を引き起こします。
災害の特徴
広範囲な影響: 電力、ガス、水道、通信といった社会基盤の停止は、特定の地域だけでなく、広範囲にわたる人々の生活を停止させます。
複合的な被害: ライフラインの停止は、医療機関の機能不全、情報不足によるパニック、治安の悪化など、様々な二次的な被害を引き起こします。
危険と危険な場所
医療機関: 停電によって生命維持装置や手術室の機器が使えなくなり、患者の命が危険にさらされます。
交通システム: 信号機や鉄道の運行システムが停止し、交通網が麻痺します。
情報弱者: 情報が断絶することで、高齢者や障がい者など、災害情報にアクセスしにくい人々が孤立する危険が高まります。
5. 将棋倒し(群衆事故)
将棋倒しは、多くの人が一箇所に集中し、密着した状態で転倒することで、後続の人が次々と倒れ込み、積み重なるようにして発生する事故です。これは、特定のイベントや場所で、群衆の制御が失われたときに起こる人為的災害の一種です。
災害の特徴
予期せぬ発生: 群衆が密集している状況下で、誰か一人が転倒したり、何かに驚いてパニックになったりする、些細な出来事がきっかけで発生します。
窒息と圧迫: 将棋倒しでは、単なる転倒による外傷だけでなく、倒れた人々の重みによって胸や腹部が強く圧迫され、窒息や内臓破裂といった致命的な被害が起こりやすいのが最大の特徴です。
短時間での被害拡大: 一度発生すると、瞬く間に被害が拡大し、多くの死傷者を出す可能性があります。
危険と危険な場所
群衆が密集する場所:
- コンサート会場やライブハウス: 人気アーティストのライブや、興奮した観客がステージに殺到する際に起こりやすいです。
- 祭りや花火大会: 多くの人が移動したり、狭い通路に集中したりする場所で発生しやすいです。
- 駅のプラットホームや改札口:ラッシュ時やイベント後の混雑時に、階段やエスカレーターなどで発生する可能性があります。
- 商業施設のバーゲンセール会場:多くの人が目当ての商品を求めて一斉に押し寄せるときに危険です。
閉鎖された空間: 出口が限られている場所(トンネル、狭い通路など)では、群衆の移動が制限され、将棋倒しが発生した際に逃げ場がなくなります。
傾斜地や階段: 坂道や階段は、少しの転倒が連鎖しやすく、将棋倒しがより深刻な被害につながる危険な場所です。
身を守るためのポイント
混雑を避ける: できるだけ人が集中する場所や時間帯を避けることが最も重要です。
警戒心を持つ: 群衆が異常に密集していると感じたら、その場から離れることを検討します。
姿勢を保つ: 転倒しそうになったら、手で身体を支え、すぐに立ち上がろうとします。
「圧迫」の危険を知る: 将棋倒しに巻き込まれたら、周囲の人々からの圧迫によって呼吸が困難になることを認識し、胸部を守る姿勢をとります。
