第3章:避難について
避難場所・避難所

災害における「避難場所・避難所」は、一時的に生命の安全を確保し、生活の維持を図るための重要な拠点です。ここでは、「どこへ避難するか」を災害種別ごとに考えます。
「避難場所」は、地震による火災延焼や津波などから身を守るための緊急的な場所(広い公園、高台など)であり、「避難所」は、自宅が危険で使用できない場合に一定期間生活を送るための施設(学校、公民館など)で役割が異なります。重要なのは、自宅からの距離や災害種別に応じた複数の避難先を事前に決めておくことです。特に、水害では「垂直避難」(マンションの上階への移動など)も有効な避難所となり得ます。また、指定された避難所が必ずしも安全とは限りません。浸水や土砂崩れの危険がある場合は、より安全な親戚・知人宅への「広域避難」や「縁故避難」も視野に入れましょう。事前に場所と経路を確認し、災害種別ごとの安全な場所を把握しておくことが、命を守る第一歩です。避難方法に唯一の正解はなく、災害の種類や自宅の状況に応じて、最も安全な選択をすることが重要です。

役割と目的 災害種別 具体的な例 行動の留意点
指定緊急避難場所 命を守るため、緊急的・一時的に避難する場所。危険が迫っている間のみ使用。 地震時の火災の延焼、津波、洪水、土砂災害など、災害種別ごとに指定されている。 広域避難場所(大規模公園、広場など)、津波避難ビル、一時避難場所(学校のグラウンドなど)。 自宅のハザードマップと照らし合わせ、自身が逃げるべき災害種別ごとの場所を事前に確認する。「逃げる場所」であり、長期間の生活はしない。
指定避難所 自宅に戻れない人が一定期間生活を送る場所。安全が確保された後に開設される。 家屋の倒壊・損壊、ライフラインの途絶、長期的な在宅避難が困難な場合。 小中学校の体育館・教室、公民館、コミュニティセンター、一部の福祉施設。 生活の場となるため、プライバシー、衛生管理(簡易トイレ、手洗い)が重要。備蓄品(食料、薬、毛布)を持参する。
福祉避難所 一般の避難所での生活が困難な人(高齢者、障がい者、妊産婦など)を対象とする二次的な避難所。 指定避難所の環境が合わない場合、医療的ケアや専門的な配慮が必要な場合。 老人福祉センター、障がい者施設など、専門的な設備や職員がいる施設。 すぐに開設されないため、まずは指定避難所へ。開設は自治体の判断によるため、事前に避難所の職員や行政に相談し、登録しておくことが望ましい。

避難行動の多様性

避難方法 対象とするリスク 具体的な場所 留意点
立ち退き避難(水平避難) 火災、津波、土砂災害、全壊の危険 指定緊急避難場所、親戚・知人宅(ハザードマップ外) 事前に家族で場所・経路を確認。感染症対策(マスク、消毒液)も考慮する。
垂直避難 洪水、内水氾濫(浸水リスク) マンションやビルの3階以上の安全な場所(上層階) 自宅の上階や近隣の頑丈な建物の高所。水・食料を上階に持ち上げる必要あり。
在宅避難 家屋の被害が軽微、ライフラインの一部停止 自宅(安全が確保された居室) 最低7日分の備蓄(食料、水、生活用品)が必須。二次被害(火災、盗難)に注意。
縁故避難・広域避難 自宅地域が広範囲にわたり危険、避難所の混雑回避 安全な遠方の親戚・知人宅、宿泊施設 移動手段、ルート、長期的な物資・医療の確保を検討する。