第1章:身の回りの危険を知る
その他・災害・健康危機管理が必要な事象

新興・再興感染症の流行

新興感染症は、これまで人類が経験したことのない新しい病原体による感染症(例:COVID-19、SARS)。再興感染症は、一度制圧されたかに見えた病気が再び広まる感染症(例:結核、麻疹)。

特徴

急速な感染拡大: 航空機や人の移動により、病原体が短期間で世界中に広がる可能性があります。
未知の脅威: 治療法やワクチンが確立されておらず、重症化リスクや致死率が不明な場合があります。
社会機能の麻痺: 大勢の人が感染し、医療機関がひっ迫し、経済活動や社会活動が停v止することがあります。

危険

医療崩壊: 患者数が医療提供能力を上回り、必要な治療が受けられなくなる危険があります。
健康二次被害: 感染への恐怖や外出自粛による精神的ストレス、運動不足による生活習慣病の悪化などが起こります。
情報混乱: 不正確な情報やデマが広まり、パニックや社会の分断を引き起こす可能性があります。人への不信感と風評被害が広がり対象者への心理的社会的行動の制限がかかることがあります。
集団発生: 学校給食や飲食店など、同じ食品を多くの人が食べた場合に、集団で発症することがあります。
原因特定が困難: 複数の食品が関連している場合や、原因物質が特定されるまでに時間がかかることがあります。
広範囲に及ぶ被害: 広域流通している食品が原因の場合、被害が複数の都道府県にわたる可能性があります。

医薬品・医療機器の事故や流通停止

医薬品の副作用や医療機器の不具合によって健康被害が発生したり、サプライチェーンの途絶によって必要な薬や機器が届かなくなったりする事案です。

特徴

見えにくい被害: 副作用や不具合は、特定の患者にのみ現れることがあり、発見が遅れることがあります。
広範囲な影響: 一つの製品に問題があった場合、全国の患者に影響が及ぶ可能性があります。
生命維持への直結: 人工呼吸器や透析機器、心臓ペースメーカーなど、生命維持に直結する医療機器の不具合は、直接命に関わります。

危険

健康被害: 意図せぬ副作用や機器の不具合によって、患者の病状が悪化したり、新たな病気を発症したりする危険があります。
医療の停止: 災害やパンデミックによる物流の混乱、または海外からの供給停止によって、必要な医薬品や医療機器が病院に届かなくなり、医療サービスが提供できなくなる危険があります。

サイバーテロ

サイバーテロは、コンピューターシステムやネットワークに不正にアクセスし、破壊や妨害を行う行為です

特徴

非物理的な攻撃: 物理的な破壊を伴わず、ネットワークを通じて遠隔地から攻撃が行われます。
社会機能の麻痺: 電力網、金融システム、交通システム、医療システムなどの重要インフラが攻撃の標的となります。
大規模な混乱: 攻撃によって社会全体が機能不全に陥り、情報伝達の途絶やパニックを引き起こす危険性があります。

危険

医療システムの停止: 病院の電子カルテシステムが使用不能になったり、医療機器が誤作動を起こしたりする可能性があります。これにより、正確な医療情報の共有ができなくなり、患者の命に関わる事態に発展します。
情報漏洩: 患者の個人情報や企業の機密情報が流出し、二次的な被害をもたらす危険があります。
社会インフラの停止: 電子カルテやレセプトなど、医療の制御システムが乗っ取られたり、電力供給が停止したりすることで、保健・医療・福祉など社会全体に大きな混乱と被害がもたらされます。